この地域の小児救急について
この地域の小児救急について市内のフリーペーパー「FORZA」に
院長のインタビュー記事が掲載されました!(2011年)
突然ですが、クイズです!
次のうち、夜間にお子さんがその状況になった場合、中央病院に行かなければいけないのはどれ?
5) 2歳男児。インフルエンザが流行している時に40度の熱が出た。
6) 12歳男児。急に下腹部痛が出現した。下痢はしていない。
実はとても恵まれた環境なんです!!
木更津、君津、富津、袖ヶ浦の4市では、夜間休日にこどもが病気になって病院に行く必要がでてきた場合、夜間救急診療所や休日診療所を受診することになっています。そこでは手に負えない場合やこどもが1歳未満の乳児の場合、深夜11時を過ぎた場合などは君津中央病院で小児科医が対応し、必要に応じて診察してくれます。最後には必ず「小児科医」が診察してくれるという環境、実はこれってとても恵まれていることなんです。では中央病院の小児科医の勤務状態はどうなっているのか知っていますか?
少ない小児科医で当直をするって大変!
~中央病院の小児科当直の現状~
僕の専門は小児外科ですが、平成18年に君津中央病院に赴任してから小児科医不足を目の当たりにし、小児科当直をするようになりました。(小児外科医は「外科医」なので通常は外科当直に入ります。ですが当時小児科医が6人で当直をまわしていたので「それではあまりに大変」と志願して小児科当直にはいったのです。)
そこで実際に目にしたものは、こどものよくある病気(発熱、嘔吐・下痢、腹痛)に対する不安が非常に強い親御さんがとても多いという現実でした。(深夜0時を過ぎてから、「今こどもの体温を測ったら40度もあるのだけど・・・?」「夜寝るまではなんともなかったのに、今起きて1回吐きました。どうしたらいいですか?」という電話をこれまで何回も受けてきました。どちらも「朝まで様子を見てください」と対応しています。)
君津中央病院小児科は24時間365日対応していますが、それは喘息発作やその時間に対応しないと状態が悪くなる可能性が高い場合です。中央病院の小児科は平成25年4月現在たった6人で当直をまわしています。ということは若い先生は週に2回も当直をしなくてはなりません。中央病院小児科当直では朝まで熟睡できることはほとんどなく、当直明けでも通常の外来、病棟業務を行わなければなりません(事務方は「当直明けの先生は帰ってください」というが、そんなことできるわけありません!)。当たり前のことですが、どんなに寝不足でも外来、病棟業務にミスは許されません。そのことを考えると6人というのは本当にぎりぎりの状態であり、あと1人欠けてしまったら小児科医が毎日当直することは不可能になってしまうかもしれません。そんな中「ちょっと心配だから」「大丈夫だと思うけど念のため」休日夜間に中央病院を受診する患児が増えるとどうなるのでしょうか?言うまでもないでしょう。(「電話で聞くだけ」という行為も当直医を起こすので同じことです。)
親御さんが正しい知識を持ってもらえるよう講演会を行っています!
僕は中央病院に赴任してから結婚して子供ができ、家庭を持った木更津市民です。ですから、自分の子供のためにもいつまでも中央病院の小児科がこの地域の子ども達の「最後の砦」として機能して欲しいと思っていますが、このままではそれも風前の灯です。それじゃあ、今の自分にできることはないのか?なんとかして地域の親御さんに君津中央病院小児科の現状と、よくある子供の病気の対処法について知ってもらいたい。そう考えて平成20年から始めたのが「保育園講演」でした。僕が木更津市役所の児童家庭課に「保育園で話をさせてください!」とかけあったところ、趣旨を理解してくれた担当の方が市内の保育園に声をかけてくださり実現しました。講演会はおおむね好評で、毎年希望がある保育園の保護者会に出向き、講演させていただけるようになりました。その後、木更津市や富津市の公民館から声をかかったときに講演させていただいたり、木更津市主催の子育て講座でも毎年講演させていただいたりして、これまでの講演回数は43回になりました(平成30年9月現在)。また、平成25年2月から毎月第4月曜日に君津中央病院の母親学級でもこどもの病気についてお話をさせていただいています。
中央病院はいつでも診てくれるからといって、いつでも気軽に行っていい訳ではありません。この地域の最後の砦を守るのは、他の誰でもない、この地域の親御さん自身なのです。是非、子供のよくある病気の症状に対する正しい知識を得て、この地域の小児救急医療を一緒に守っていきましょう!
開業医になった今は、地域のかかりつけ医として、いつでもお気軽に来てください。極端な話、お子さんが病気じゃなくても、病気のことで「ちょっと話がしたい」と思うことがあったら、来ていただいて構いません。そしてこの地域の小児救急医療を守るために、「夜間休日にお子さんがどういう状態になったら中央病院を受診すべきか」ということを親御さんに伝えていく活動をライフワークとして続けていこうと思います。
講演を希望される個人・団体がございましたら、いつでも電話・メールでご相談ください。クリニックが休診のときであれば、いつでも伺って講演させていただきます。